家に帰って、たまご、その他もろもろを冷蔵庫に入れてから、自分の部屋に上がる。
ベランダに出ると、思ったより月が明るかった。
げえっこげえっこ、カエルの鳴き声が一定のリズムで聞こえてくる。
携帯を開くと、着信履歴にある名前を押した。
プルルル…プルルル…
4回のコールのあと、
「もしもし?」
…馴染んだいっちゃんの低い声が、耳に響く。
「あ、もしもしいっちゃん?さっき出れんでごめんな」
「全然ええで。実家、どう?」
「うん!やっぱ久しぶりに帰るとええなぁ。落ち着く。ご飯もおいしいしなぁ、今日はおばあちゃんち行って食べたんやけど───」
流れるようにいっぱい話した。
話しすぎって自分でも思うねんけど、舌の上を言葉がすべりおちていく。
いっちゃんはあいづちをたくさん打って、そのあとふって笑って。
「…なんかみとも、めっちゃ機嫌ええね」
「え?そ…そうかなぁ?」
「うん。ていうかみともの機嫌は、声の高さでわかるで。俺」