でもみんながおる手前、普通にふるまうしかなかった。
みんなが何を話しとるのかよーわからんかったけど、笑ってた。
でも人はよーけおったし、いっちゃんとはとくに話す機会もなくて。
…結局、その日は夜明け近くまで飲んだ。
床には飲み倒して死体になった数人がご臨終。
もう帰ろうかぁ。
そういう話になったときに、
──みとも。
…いっちゃんに、名前を呼ばれた。
「……送ってくわ。」
そう言われて、断ろうって思って。
でも口が開けんくって。
開いたらきっと声がふるえてまいそうで。
…やから、黙ってうつむいたまま、うなずいた。
ずうっと真っすぐな一本道を、並んで歩いた。
いっちゃんは何もしゃべらんかった。
ウチもずっと下を向いて、自分の靴ばっかを見てた。
…ふたりで並んで歩くなんて、めっちゃ久しぶりやった。