楽しいと思った。
好きになれる気がする。
好きになれる。きっと。
「つき合ってくれへん?」
…それやのに、いざ先輩が告白してくれたとき、うなずけへんかった。
ぼろぼろ涙が出て。
口が自然に、ごめんなさい、ごめんなさいって言うてた。
好きな本が一緒。
好きな音楽が一緒。
好きな映画が一緒。
…いっちゃんとは、ひとつも合ったことないのに。どうして。
ずっと押しこんでたはずのいっちゃんが、フタがあいてもたみたいにばーっていっぱい、飛び出してった。
なんで。なんで。なんで。
どんなに問いかけても、浮かぶのはひとりの顔。
ひとりでアホみたいに泣きながら、おニューのワンピースのすそでぬぐいながら、帰った。
アホやなぁ。
…好きになれる、と、どうしても好き、は、違うもんやった。