電車に乗り込んだ瞬間に、ぐっと力入れてたまぶたの筋肉がゆるんで。
ぼっろぼろ泣いてもて、アヤちんも周りのお客さんもびっくりさせてしもた。
──例え"すき"、て言わんでも、いっちゃんの"すき"、がもらえる。
そんなのうらやましくて、息が詰まって死にそうや。
…その日の晩、いっちゃんから電話がきた。
でも出れんくて。
普通の声なんか出せへんし。
なんて言えばええの?
なんて言われんの?
ごめん?大丈夫?…やっぱり彼女が好き?
彼女さんの方がずっとずっと大事なくせに、中途半端に気にかけるなんて、その方がずうっとしんどいよ。
いっちゃんの優しさは、ウチの頬を思いっきり打つ。
痛い痛い痛い。
…もう、やめたい。
今まで大事に保護してたメール、全部消してしまおうと思た。
でもできんくて。
読み返してたら、どんどんいっちゃんの顔が浮かぶ。
気が付いたら、耐えきれんくて電源を落としてた。