それからいつの間にか"志波くん"は"いっちゃん"になって、"岡野"は"みとも"になった。
関係は相変わらずで、仲良くて。
多分周りのだれも、ウチが告白して玉砕したなんて思わんかったと思う。
ウチが「すき」って言うていっちゃんが「ありがとう」って返す。
なんかいつの間にかふたりん中でそれがネタみたいな、当たり前のアイサツみたいになってもて。
頑張るもなにも、いっちゃんに彼女さんの存在がおるかぎり、結局どうすることもできへんやんか。
ただ近くにおるだけで精一杯。
メールも、しょーもないこと毎日続けて。
でもそのなんてことない内容でも、絵文字のいっこにすら、選ぶのめっちゃ時間かけて。
アホみたいやなぁ、ウチ。
「すき」
「ありがとう」
…同じすき、が返ってくることはないのに。
でも、決定打の日はやってきた。
その日はアヤちんと買い物行く約束で、珍しく駅に向かってた。
駅について。お財布出して。
「電車賃高いよなぁ〜」
とか話して、切符買って。
改札をくぐろうとして…足が止まった。