志波くんと彼女さんの関係なんて実際わからへんし、彼女さんがどんな人かも知らん。


それやのにふつふつわきあがってくる汚い気持ちがおさえられへんかった。



ウチの方が、もっと。



…そんなこと言えるはずないのに。



「そんでもな。…嫌いになれへんねんな。」


志波くんが前とおんなじ、切ない顔でそう言うたとき。




胸の奥がしくしくした。


痛かった。
悲しかった。
悔しかった。
苦しかった。



…ああ、やっぱ、ウチはまだ全然、志波くんのことあきらめられてないやん。


でもな、かっこつけとかやなくてな。


自分が志波くんの彼女になりたいとか、そんなんやなくて。



…志波くんが辛そうな顔すんのが、いちばん苦しかってん。せやから。




――あんな、志波くん。


志波くんがつらいときは、いつでも話聞く。


でも言うとくけど、下心ありありやねん。


友達ぶっとったけど、ウチはまだ志波くんのこと、すきやし。


っていうかこんな人を好きになったん、はじめてやし。