「……」
「………っ、さ」
「さ?」
「…さっきの電話、は…あの、もしかして…」
「……?」
「…“いっちゃん”?」
おとうさんの口からいっちゃんの名前が出てきて、めっちゃびっくりした。
だってゆうてないのに。
つきあっとる人がおること。
何で知っとるん……って。
おかあさんしかおらへんか。
誰にも言わんからぁ〜とか媚びた声で聞き出すくせに、ソッコーでバラしてるこのネットワークの良さ。
おとうさんは緊張して、異様に肩に力が入ったまま聞いてくる。
「い…いっちゃんとは、お…お付き合いをしているん、だよ、ね。」
…おとうさん、なんか標準語なってるで。
「どういう…経緯でお、お付き合いを始められたのでしょうか…?」
…今度は敬語になってるけど。
あんまりガッチガチなおとうさんがかわいそうで、おもしろーて。
ちょっと笑ってしもうた。