近所のスーパーで頼まれたものは全部そろった。
あずかってきたエコバックに詰め込んで、車に戻る。
最初はたまごだけやったのに、おかあさんからもらったメモはいつのまにかびっしり文字が書かれてて。
結局袋ふたつぶん。
荷物だけ後部座席に入れて、助手席に座った。
「あ、たまご割れへんかな。膝置いといた方がええ?」
「そんな揺れる道やないから大丈夫やろ。」
「そっか」
「…みとも」
エンジンをかけながら、おとうさんが言った。
エアコンから冷えた風がもわん、て吹き出す。
「ん?」
「せっかくやし、ちょっと遠回りしていこか。」
…めずらしいなぁ。
おとうさんがこんなこと言うん。
車で夜のドライブなんかめっちゃ久しぶりや。
びっくりしたけど、ドライブ好きやからちょっと嬉しくて、うんってうなずいた。
車が、家へ帰る道とは一本違う道に入る。
「なんかなぁ、おとうさんとこういうのん久しぶりやない?」
「…せやなぁ」