ウチが寝顔撮られた仕返しに〜って、いっちゃんが爆睡しとる瞬間──ぱしゃり。


いっちゃんはウチのん消してくれたけど、ごめん。

じつはウチ、消してなかってん。




今日はちょっと豪華にしよかぁって、一緒につくったカモ鍋をつついて──ぱしゃり。




ライブ一緒に行って、おそろいのライブTシャツ買って、はりきってポーズ決めて──ぱしゃり。




一緒に行った水族館で、カピバラとにらめっこしとるいっちゃん──ぱしゃり。




ぱしゃり。ぱしゃり。ぱしゃり。



1枚1枚が、1瞬1瞬が、いっちゃんとウチの、今をつくってる。




「…あんな。」



ウチの背中にぎゅう、ておでこ押し当てて、いっちゃんが言った。



「ん…なに?」

「ちょっと突然思たことなんやけど、言ってもええ?」

「うん?ええよ?」

「あんな……俺なぁ。この大学に出てきて、良かったって思うよ」

「……突然どしたん」

「やから突然思たこと、て言うたやんけ」

「………」

「もしちゃうとこ受けとったらさぁ、今こうやって過ごせてへんやんか。」

「……うん」

「やから…つまり、な。うん。」

「………」


「…みともに会えたから、こっち来て良かったなぁって」