ふりかえったら、ウチを見上げるいっちゃんの瞳。



「…行ってまうん」

「……いっちゃんが場所とっとるからやんか」

「………」

「……冷蔵庫にお茶、取りにいくだけやし」




…なんなん、いっちゃん。



べつにかわいい顔してへんくせに。男くさい顔のくせに。



…そんな風にされたら、ちょっとかわいいやんか。アホ。




「……みとも。今日、いっぱい飲んだ?」



すそを握ったまま話すいっちゃんの声は、すこしかすれた声で。



「んー。ぼちぼち、かな。酔ったし」

「ほな眠くない?」

「…なんなんいっちゃん、眠いん?まだ酔うとるん?」

「酔ってないって。フロ入ったやん」

「あ、そっか。」

「……みとも」

「なに?」

「…なぁ、となり来たい?」

「……べつにぃ」

「…来たいって言えやぁ」



…さっき大の字になってたんだれよ、いっちゃん。



こんな甘えたないっちゃん、ひさしぶりやなぁ。




「わーかったって!でも、その前にな」



いっちゃんの手首をつかむと、そっと自分の服の裾から離す。