｢今さらかもしれへんけどさぁ。いっちゃんと、離れてまうやん。｣
｢…うん｣
｢あたしな…神崎くんと別れて、よけいに思ってん。遠距離って…難しいと思う。続かんと思うよ？｣
｢……｣
｢好きや〜絶対別れへん〜って言うとってもさ。実際、続いてるカップルなんて少ないやん。…触れられへんのって……きっと、めっちゃおっきいと思うよ｣
｢………｣
近くにおらんってことは、つながるものは言葉しかないから。
笑った顔が見られへんから。
…ぎゅーってして、あったかい体温で安心させ合うことができへんってことやから。
アヤちんは固く結んだくちびるをさらにぐっとしめたあと、息をついた。
｢…ごめん、みとも…。あたし、みともといっちゃんのカップル、めっちゃ好きで。やから…ごめん。でも、あたしは──｣
｢うん｣
必死な、真面目な顔のアヤちん。
ウチもふざけたやつやなくて、気持ちをこめた笑顔でまっすぐ、アヤちんを見る。
｢…うん、ありがと。アヤちん。｣
ちゃんと伝わってるよ。
わかっとるよ。
大丈夫大丈夫〜とか、その場限りの励ましやなくって。
綺麗事やなくって。
…アヤちんがウチのことをほんまに考えて言うてくれとるの、わかっとるから。
