「え…ええ!?そう…かなぁ?」
「だってみとも、覚えとる?1年の冬にさっぺがさぁ……」
頭ん中の情景が、一気に年数をさかのぼる。
昔話に花がさいたらなっかなか戻ってこられへん。
あのときみともがな。
アヤちんこそ。
…なぁ、そういえばあれ覚えてる?
めっちゃ前やなぁ〜って思うより、もうそんなに経ったんかっていう気持ちのがおっきかった。
大学生活って、ほんまにあっという間やったから。
おとなになるにつれて、月日走ってくスピードがどんどん早くなるなぁって思う。
これから…卒業してからは、もっともっと早いんやろか。
向こうの方で、カーネルサンダース似のおじさんがふぁぁって大きなあくびをしてる。
白いヒゲがそっくりや。
めっちゃ眠そうやなぁ。見逃さんかったでカーネルさん。
ちょっと口元に笑いを浮かべたとき、アヤちんが言った。
「でもなぁ…みともから電話で、地元で就職するって聞いたときはびっくりしたわぁ」
…通知が届いて。
まず真っ先にいっちゃんと、おとうさんおかあさんに報告して。