真剣な顔で言うてくれたいっちゃんの言葉は全部、こまくを震わせて、たしかな形になってウチの中にとどく。


怒った声が、ぜんぶぜんぶ。



最高で最強の告白みたいに聞こえて。




…いっちゃん。



ウチが呼んだら、いっちゃんははぁーっておなかの底からため息はいて。


ウチのほっぺたをぶるぶる、左右からこねまわした。



「……ひょめんなひゃい、いっひゃん」

「いーや、許さん」



…ずっとぶるぶるされたらまともにしゃべられへんやんか。

いつまで続けるん、いっちゃん。


ほっぺたにはりついとった涙も、いっちゃんの手のひらに溶かされて。


最後にうにーってほっぺたのばされて、いっちゃんが立ちあがった。




「…帰んで。みとも」

「………うん!」




ウチの手を引いて、歩きだす。


走ってきた道を、ゆっくり引き返す。



ふたりの家へ。

いっちゃんと、ウチの部屋へ。



となりに並んで手をぶらぶらさせながら、どちらからともなく笑いだしてしまった。



…だって、なんか照れくさくて。