いっちゃんもハァハァ言うてて、お風呂上がりで、そのへんにあったもん急いで着たかんじで。
くつも、ウチとおんなじ。左右ちがう種類で。
しゃがみこんで、
ウチと、おんなじ…高さの目線になって。
「〜っ、アホかっ!!」
びったーん!!
両手でおもいっきし、ほっぺはさまれた。
「痛った……、」
思わず涙も止まって、動きも止まって、思考も止まって。
のどの奥だけが、ヒクッって鳴る。
「…いっ、ちゃ──」
「〜あんなぁ!!おれかて不安やないわけないやろ!?いきなり言われてびっくりしたし、けど前からもしかしたらって思てて、でもなかなか聞けへんくて…っ!!」
「…………」
「大丈夫、とか、そんなん……そんなん、そう言うしかないやんか!!おれは……っ、」
いちねんと、はんとしからもう何か月か。
ううん、出会ったときからやったら、3年と何カ月か。
その年月の中で、はじめて聞いた声。
…いっちゃんの、必死な。怒った声。