いっちゃんの匂いにつつまれて、目ぇ閉じる。


引き出しん中には、数えきれへん写真の束。



…だいじょうぶ、だいじょうぶ。


ちゃんと、話せる。



おなかにまわされたいっちゃんの手をぎゅうって握って、



「…あんな。」



…ゆっくり、話を切り出した。



「うん?」



いっちゃんが顔をあげる。


首筋から、いっちゃんの気配が消える。



「ちょっと、話したいこと…あるねん、か。」



大丈夫、って、なんども。心ん中で。



でも、体がこわばる。

自然に力入ってまう。



ウチの様子がおかしいのに気付いたんか、いっちゃんがぐるっとウチの体回して。



「……みとも?」



鼻先と鼻先。


…近距離で、向かい合った形になった。



近くにあるいっちゃんの顔。


見上げて、でもすぐに顔を下げて。



「…みとも。…どした?」



だいじょうぶ、言えるって、何回も。

やのに…あー、でも、あかん。



…いっちゃんの顔、ちゃんと見れへん。



「あん…な。」

「うん」

「あんな…ウチ、な……」