話そう。
そう決めたけど、でもやっぱり…どうしても緊張してまうなぁ。
もう、心をふらつかせたくないのに。
リビングに戻ってテレビつけたけど、映像が流れてるだけで…いっこも頭には入ってこんくって。
無駄に時計何度も見て、そわそわ落ち着かんくて。
…いっちゃんはいっつも早風呂や。
下手したら、カップラーメンの時間くらいで上がってくることあるもん。
いっちゃんは髪短いから、ドライヤーの時間も短い。
ぶおーって音がしたなぁって思たら、すぐにはい、おしまい。
「…おっ、ちゃんとまだ起きてる」
…そしたらかわいた髪の完成型いっちゃんが、リビングに戻ってくるねん。
「…おかえり」
「ただいまみとも。あーめっちゃサッパリしたわぁ!!」
そう言うてウチの後ろにまわりこむと、ぎゅーって抱きついてくる。
…お風呂上がりのええ匂い。
いっちゃんの鼻先が、首筋に触れる。
…かわいてると思ってたけど、髪。
まだちょっとつめたかって。
ウチが待っとる思て、いそいでくれたんかな。