「……あ」
次に見つけたんは、それよりもっと昔の。
…何月ごろかなぁ。
いっちゃんと、ウチと。
ふたりで並んでうつってる写真。
…岡野。志波くん。
そう呼び合ってたんが、懐かしい記憶と一緒にばーって思い起こされる。
写真の中のふたりは幼くて、一生懸命笑ってた。
うちといっちゃんが、出会って間もないころのすがた。
こん時はまだ、つき合ってなかった。
毎日、ドキドキしてた。
…いっちゃんが彼氏になるなんか、考えもしてへんかった。
1枚、1枚。
ゆっくり、写真を両手で持って見ていく。
1枚、1枚に。
全部に、忘れられへん思い出がある。
こんとき、いっちゃんがシャッター切るかけ声、「はい、チージュ!」ってかんだなーとか。
これ撮ったとき、ウチが半目で、いっちゃんがめっちゃ爆笑して、取り直したーとか。
「…ふふ」
うわ。ひとりで笑うとか、やばいかな。
ひとり言とかめっちゃゆうてもとるしな。あーあ。
…ひとりでちょっと泣きそうになっとるとか、おかしいかな。