「だっていっちゃん…妄想広げすぎなんやもん!」
「妄想って……まぁ、将来結婚できたらの話ですけどね。」
できんかったらピカチューは自分の寝まきとして着てやる!とかふざけるいっちゃん。
あはは、て続けて笑ったけど、ちょっとだけ心がチクっとした。
…結婚、できたら、か。
別にウチやって、すぐに結婚とかそういう気ぃないし、全然想像もつかへんけど。
いっちゃんかて、なんも思わず言ったんかもしれへんけど。
なんかそれって、別れる可能性もあるって言われてるみたいで…ちょっとだけ、さみしい。
ウチの注文したドリアと、いっちゃんのステーキを一口ずつ交換した。
いっちゃんはおっきく切ったお肉くれたから、ちゃんとお返しに、スプーンにたっぷりのチーズとエビを乗っけて。
口の中で、肉汁がじゅわーってあふれる。
うん。ええなぁ、やっぱ。ステーキなんか久しぶりに食べた。家ではせぇへんし。
目の前でもぐもぐ、幸せそうな顔しとるいっちゃん。
家におるときの洗いざらしの髪やなくて、ちゃんとセットされた髪。