「ファミレスとかめっちゃ久しぶりやない?」
「なぁ!1年ときとか徹夜でテスト勉強しにきたよなー」
「ドリンクバー乱用してな」
「そうそう、絶対いやな客やんな。テスト勉強に追われた大学生って」
…久しぶりに、いっちゃんと出かけた。
久しぶり。
いっちゃんの顔を改めてまっすぐ正面から見たんも、久しぶりかもしらん。
どれにしよかな〜って、うれしそうな顔してメニュー見てるいっちゃん。
…こういうとき無邪気やなぁ。ちっこい子供みたいや。
ウチも視線落として、メニュー表に目を向ける。
並んでる。
おいしそうな色をテカテカのっけて、自慢げに陣取る料理の写真たち。
…あの夜から、ずうっと。
いっちゃんと1度、ちゃんと話せなって思てた。考えてた。
…就職のこと。
…地元に帰って、むこうで就職しよう思てるってこと。
お互い忙しいゆうたって、おんなじ部屋に住んどるんやもん。
話そうと思えばいくらでもチャンスはあってん。
…けど、いざ切り出そうってなったら、できんくて。