たくさんのおかあさんが、
こぼれてこぼれて、止まらんくて……
……ウチは。
『大丈夫やから』
『みともは、心配してくれとんかもしれへんけど』
『みともは、みともの好きなように生きたらええんよ』
みとも、みとも、みとも。
記憶の中のおかあさんがウチの名前を呼ぶ。
笑って。
元気いっぱいな顔で。
でもどの"みとも"にも、愛情がたっぷりこもってることに今さら気づく。
───みとも。
その場にぺたん、てしゃがんで、動けんかった。
…ウチはどのくらいの愛情を受けてきたんやろう。
"みとも"は、どれだけ幸せをもらって生きてきたんやろう。
…バイトで嫌なことあった時、いきなり電話して気のすむまでグチって、向こうの話も聞かんと電話切った。
…うまく行かんくてさんざん八つ当たりして、でも部屋に来てくれて。
涙が止まるまで、隣におってくれた。
…入院しとるとき、MDにいっぱい曲入れてってくれた。
一生懸命選んで、漫画買ってきてくれた。
…一緒に服買いに行って、2枚だけやでって言われたのに、どうしてももういっこ欲しくて。
そしたらおかあさん、自分のなんも買わんと買ってくれた。