コンクリートにおでこと、頭ぶつけて。
痛いのなんのって。そりゃもうおお泣きで。
まっさきに駆けつけて抱き起こしてくれたんは…おかあさん、やった。
おとうさんはアワアワしながら大丈夫かみとも〜っ!?って泣きそうな顔んなって、おかあさんの周りをまわってて。
泣きわめくウチをひょいって担ぎあげて、おかあさんは自分の肩にのっけてん。
…びっくりして、涙が止まった。
かたぐるまされた景色は全然ちゃうくて、ずっと高くて。
自分が強くなったみたいな、おとなになったみたいな気分になれたから。
涙やなくて、笑顔になってた。
…おかあさんが自分のこと守ってくれてるんやなって、わかったから。
あ。でもウチの場合、呼び方ママ、やなかったな。
かーちゃ。
おかあさん、の出来そこない。
舌足らずの、完璧じゃない、でも。
…でも、嬉しかったんやって。
かーちゃ、って。
はじめてそうやって呼ばれた時、嬉しかったんやって。