わからんけど、のところで、声が震えてしもた。



いっちゃんはウチの手握ったまま、うん、て言った。


深くて、広くて、安心する声やった。


ふたりで、ゆっくりと歩き出す。


立ち止まらんと歩くだけでも、空気の流れが違って。


頬に当たる風は、ほてった体をゆっくりとなだめた。



「……たぶんな。」



いっちゃんの声が、夜の中におちる。



「みとものお父さんとお母さんにも俺らみたいな頃があって、レンアイして。家庭を1からつくってってんよな。」

「………」

「そう思たら、家族ってなんか、すごいよな。…うん、俺もあるんが当たり前やと思ってたけど。」

「………」

「せやから…めっちゃ、大事な歴史があるってことやんか。ふたりで頑張って作ってきたものなんやから。あと、みともも。」



…いっちゃんの声が、じんわりしみてくる。



「…やから、大丈夫やって」



繋いだ手の結び目から。

じんわり、じんわり、あったかいもの。


いっちゃんの手は熱くて、あったかいっていうより…熱くて。