電話を切って、ふぅ、ってベットに横になったとき。


ちょうどコンコン、て部屋のドアがノックされた。


ドアの隙間からのぞいてきたのは、おかあさん。


「どしたんおかあさん?」


ベットから体を起こすと、おかあさんがいそいそと部屋の中に入って来た。


両手にいっこずつ、マグカップを持って。


「ホットミルク作ってん。飲まへん?」

「え、うん!ありがとう」


ホットミルクかあ。

おとうさんの買ってきた牛乳、さっそく使ったんかな。


飲むん、ちょっと久しぶり。


渡されたカップからはほわんとしたまぁるい感じの匂いがした。


ミルクに膜が張らんように、くるくるカップを回す。


おかあさんはテーブルの近くにちょこんと座って、ミルクをすすりはじめた。



「…あ。そういやおかあさん、おとうさんにいっちゃんのことバラしたやろ。内緒にするゆうてたのに」

「え、あはは。ごめーん、おかあさんお口にチャックできへん人やねん」

「もうなんも言わんし」

「ウソや〜ん!教えて教えて、な?いっちゃんとは最近どうなん?うまくいってるん?」