「おとうさんにつき合ったキッカケ聞かれたときにな。」
「うん」
「…なんかそん時のこと、すごい思い出した。そしたら…うん。なんて言ったらええかわからへんねんけど」
「…うん」
「心がぎゅーってなって、でも、めっちゃあったかくなったよ。」
あの頃のウチはいっちゃんが好きで苦しくて、切なくて、しんどくて、いっぱいいっぱいいで。
今のウチは相変わらずいっちゃんが好きで。
でもその気持ちは、おだやかで、あったかくて、嬉しくって、やわらかくって。
「……みとも」
耳の奥で、いっちゃんの声がやさしく広がった。
「なに?」
「…や、別に呼んだだけやけど」
「ふふ、なにそれ」
「…………」
「…………」
「……なんかなぁ、」
「……うん?」
「…………」
「……なによ」
「いや…ちょ…っとな。…さびしいかなって」
──みともに会いたいなぁって。