みんなが部屋を出ていく。
最後に出るのは由良で、ドアの手前で足をとめ、私の方を向いた。
出るのかと思いきや、また私の方にUターンしてこっちに歩いてきた。
「真麻」
いつもより小さくて可愛らしい声。
「私たち、親友だよね?」
「……うん」
親友……。
今までそんな存在、1人もいなかった。
少し戸惑ったが、“親友”という言葉が嬉しくて優しく笑って言った。
「ごめんね…」
いきなり下を向いて、今にも消えそうな声をだす。
「…由良?」
「最後まで……支えれなくて………、ごめんねぇ…」
きっと泣いてくれてるのだろう。
私は泣いてもらえる資格なんてないのに。
「由良、ありがとう。由良のおかげで……すごく楽しかった」
まるでお別れを言うように……。
「真麻ぁ……行かないでよぉ…」
私は誰かに必要とされていた?
「由良…、最高の親友だよっ」
泣くのを抑えて声を出す。
その声は、やっぱり震える。
「お別れなんて…やだぁ」
………っ…!
お母さん、私はお母さんの様な強さが欲しかった。
この弱さは……、お父さんでもなく、お母さんでもないでしょう?
私は……なんでこんなに弱いの?
「ごめん」
なんでこんなに人を傷つけてしまうの?
「……っ…、私のことも…暁の次でいいから考えてねっ」
そう言って、服の裾で涙を拭い、病室を走ってでていった。
私は閉まったドアを、誰も来るはずないのにずっと見つめていた。