「お父さんが総長だった頃の……夢」
お父さんの肩が一瞬上がったのがわかる。
「副総長の蹴人さんと…幹部だと思うけど……達也さん、涼太さん、伶さん、京さん。あってる?」
「……あぁ」
夢なのに…、まだあの光景が脳裏に焼きついている。
今でも、震える。
「お母さんの病院の帰り道で……事故にあった」
「「「……えっ」」」
「「……っ!…」」
「………」
由良、千年くん、アカリが声を漏らした。
お父さんと雷斗は一瞬顔が強ばり、倉橋くんは瞑っていた目をゆっくりあけた。
「蹴人さんたち、今頃元気かな?」
震えを抑えれず、弱々しい声で言う。
頬を涙がつたい、目頭が熱くなるのがわかる。
分かってる。分かってるけど……、
「空で、きっと」
分かってた。
みんな……、私を庇って亡くなった。
「銀…お……う…」
「「……?!…」」
お父さんと倉橋くんの目が大きく開く。
知ってるのか…。知ってるよね。
「亡くなるとき……、“銀王”って言ってた」
「……くそっ…」
お父さん……、知らなかったんだ。
「空真さん」
倉橋くんの凛とした低い声が病室で響く。