「ちょっ……!翔!待ちなさいよ!」
私の言葉は届いたのか、翔は片手を上げて去った。
あのバカ……!
「…くっ」
「ら…雷斗大丈夫?!」
今だに苦しそうな雷斗。
そりゃあ痛いよね。
翔もなんだかんだいって、暴走族だし……。
「…アイツの言う通りだ…」
「へ?」
アイツって翔のことだよね?
「真麻が悪い訳じゃない。もちろん、真麻のお母さんもお父さんも悪くない。誰も悪くないのに…、俺が諦めかけてた……。それでお前を傷つけた。…悪かった」
雷斗……。
「翔…だっけ?……アイツ、真麻のこと好きだったんだよ」
はい……?
あの翔が?翔は幼なじみだよ?
昔から私の兄弟みたいな感じなのに?
「ないない」
びっくりするじゃんか。
「……この鈍感」
「…なんか言った?」
「いや…」
あ、幼なじみとしてかな?
「私も翔好きだよ!」
「は?」
あれ?私言っちゃいけなかった?
「お前、いきなり浮気?」
「え、意味わかんないんだけど」