行く宛てもない私は、病院を出た。
とぼとぼと家に向かいながら歩いていた。
「お姉ちゃんだ!」
?あっ、しほちゃんだ。
髪の毛を2つにくくって、幼稚園の制服を着ているしほちゃんと、しほちゃんママがいた。
「あら、先日は本当にありがとうございました」
深々と頭をさげるしほちゃんママ。
「あ、顔あげてください。礼をいわれるほどの者ではないんで」
うん、今の私は礼を言ってもらえれるような人間じゃない。
「お姉ちゃん悲しいの?しほがいいこと教えてあげる!」
いいこと…かぁ。
「笑うの!」
「……っ?!」
懐かしい。昔、近所で仲良かかった友達にいわれたな。
罰悪そうな顔をしといたら、「まーちゃん笑って!笑ったら楽しいよ!」って。
「しほね、お姉ちゃんが笑ってくれたらいいの!だって、しほが助けれたんだもん!しほ、お医者さんになるから笑顔じゃないとダメなんだよ!」
満面の笑みで言うしほちゃんに救われた。
そんな気がした。
「ありがとう」
「えへへー」
子供のパワーって凄いな。
私も、お母さんやお父さんを癒すことができてたかな?