私たちの階は2階。美術室は3階。
時間はもう30秒もない。
階段を上がろうとすると……
「倉橋くん……」
倉橋くんが寝ていた。
「あら、貴方行かないの?」
由良の言葉に片目をあけた。
「誰だ?お前」
「失礼ね、同じクラスの松川由良よ」
冷静さに憧れます。
「あっそ」
口癖なのかな?それとも不器用なだけ?
「おい、桜野真麻」
「へ?」
いきなりすぎてマヌケな声出しちゃったじゃん。
「なんかよう?」
私の代わりに雷斗が言う。
「お前に言ってねぇ」
普通そうなるよね。
それと同時にチャイムが鳴った。
あーあ、鳴っちゃった。
「何?」
次に言うのは私。
「ソイツと別れた方がいい」
は?
ソイツとは雷斗のことだろう。
すると、雷斗は倉橋くんの胸ぐらを掴んだ。
「テメェ…ふざけんな」
こんなにも幸せが儚く散るなんて……思っても見なかった。