「ん、甘ぇ」
10分くらい並んだのに、甘いのが嫌いっぽい雷斗は顔をしかめていた。
「えー、おいしいじゃん」
女の子からしたら、絶品だよね。
「フッ、お前の場合な」
「どういう意味よ?」
いい意味で受けとれない。
私が質問したにも関わらず、シカトという方向できた。
なんか、腹立つ。
「お、あれなんだ?」
え、まだリンゴ飴食べてるのに!
雷斗の手には、もうリンゴ飴はなかった。
ゴミ箱に捨てたのか?コイツ。
仕方ないなぁと思いつつ、雷斗の目線を辿っていくと、
「き、金魚すくいだけど」
まさか、金魚すくいも知らなかった?!
「おもしれぇの?」
……マジですか。
庶民が知らなかったら、本気で顎外れるけど、お金持ちが知らなかったら、やっぱり普通なのかな?
リンゴ飴よりも、有名だと思うんだけど……。
金魚すくいって、夏祭りじゃなくても、フェスタとかであるし。
「んー、人それぞれじゃない?やってみる?」
「おぅ」
興味津々の雷斗をみると、完璧な人間なんて、いないんだなって思えてくる。
完璧ってゆーか、子供って言えばいいかな?
今日は雷斗が楽しんでくれれば、それでいいや。