お母さんの病室の前にきた。
私は、息を飲んだ。
由良が普通に手をとってにかけた。
そのとき、私は気づいた。
「まっ、まって!」
小声で叫んだ。
「何よ?」
「私のお母さん、さっきの看護師より酷いからね?」
そういうと、由良は顔を再び引きつらせた。
よっぽど、看護師さんがダメだったらしい。
そうなる気持ち、分かるよ。私もそうだったから。
初めて会ったとき、小さかったから、思いっきり抱きしめられた。
かなり苦しかったのを覚えてる。
それから、看護師さんという職についてる人がダメになった。
なんて、懐かしんでると、
「誰かいるのー?」
と、中から声がした。
私も由良も、肩がビクッと上がった。
2人で息を飲みこんだ。
“コンコン”
「まっ真麻ッス!」
体育系女子か!という突っ込みを自分に入れて、扉を開けた。