「本当にすみませんでした」
深々と頭を下げる私。
「別に謝ることねぇよ」
半焦げチャーハンをパクパク食べるお坊ちゃん雷斗。
美味しくないのに、絶対、高級フランス料理の方が美味しいのに。
不味いなら不味いっていえばいいのに。
「けど、苦いし不味いな」
言われました。
少しグサッときたが、それが私の料理魂に火をつけた。
「たまには失敗だってするわ。次!次は極旨料理つくってやるわよ!」
「上等」
雷斗は、怪しげな笑みを浮かべた。
今回はマシな意味でだから許す。
あの顔じゃなかった。あの表情が大嫌いなの。
「あと、風呂も狭い」
今さらかよ。
てか、いきなり人格変わったぞ?
いつもの悪人に。
「うっさいわね!だったら自分の家で入ってこればぁ?わざわざ湯と液をくれてやったんだから」
負けじと言い返す私が情けない。
「俺は感想を言っただけだ」
感想も文句と一緒だ!
私は、雷斗をリビングに残して、自分の部屋に入り、普段着に着替えた。
ま、彼氏がいるということで、マシな服を。
「食いおわった」
リビングから声がしたけど、無視して着替え終えたら行った。
すると、すっからかんの皿一枚。
完食しちゃってるよ。
雷斗も、ある意味最強かもしれない。
珍食ハンターってことで。
馬鹿らしいけど、何気完璧に近い旦那。
眠くなってきた。