びっくりした。



覚えている、ユメではなかった時間










私は振り返らずに歩き出した。




『莉玖ちゃんでしょ?覚えてない?』


「…覚えてます。アガ…パンサ…」




『せいかーい。でも秘密ね…バイトだめだから』




耳元で囁かれる、

顔を見ていないのにドキドキする。





普段こんなに人の近くにいない。

人の声が耳に温かくあたる。

温かい温度と、吐息に落ち着かない







「…あの、離れてください。」



『ふふ、うん。じゃーね』






彼は、私を離れて歩いていく。


あの日暗くて見えづらかった彼の姿が

明るい日差しに照らされてはっきりと

私の目に映った。