その後は、もう私は真っ白だった。
肩から何かが這い上がって来るような、頬が引きつり、こめかみが震えるような錯覚。
聞かされる状況の説明。
彼が死んだ原因。逃げた父親。泣く母親。多くの人間、マスコミ

彼の死

私に残されたのは、『強さ』

戦って戦って。
殴って蹴り飛ばして叫んで踏み潰す。
もっと、もっともっともっともっと


彼を超える強さを
彼を忘れる強さを

私の拳が舞う
私の涙が舞う


何もいらない。もういいんだ。
ただ、私は呆然と何も無い自分の周りを見渡すだけ。


彼の知り合いが、私のところへ訪れた。
彼は日々貯金を私の為にしてくれていたんだと。
そして、彼は私の母の事を申し訳なく思っていた事、訪れた人が学校の校長で高校までの面倒を見てくれるという事。

まるでテープ音を聞いているようだった。
もう、私には彼のそんな優しさでさえ、感動しなくなっていた。
もう何もかもがどうでもよかった。