それから私は綺麗に筋肉がつくようにと違うやり方だったが特訓を続けた。
この時点で私は既に向かう所敵なしだった。
練習相手はもう彼とだけになった。少しでも彼の力に近づきたかった。


だが、そんな日々はやはり長くは続かないものだ。
父親が妙なヤクザ共を残して家を出て行った。
詐欺師という名を持つ父親なのだからそういう輩とも何かしら繋がりがあったのだろう。
何かトラブルでも起こったのか、父親は逃げてそのヤクザ共は母親に迫った。

その頃私は道場でひたすら練習をしていた。
彼は、母を訪ねに向っていた。
そして…運命は大きく揺れ動いた。
彼は、家に着いた途端に母親が襲われているのに気が付いて、手土産に持っていたケーキの箱をその場に落とし、猛獣の如くにヤクザ共に掴みかかった。
流石は武道家である彼は片っ端から男を吹っ飛ばしたが、奴らだって伊達にヤクザなんかやってはいない。
ドン!ッと大きな音がすると、母は息を呑んだ。
大きく開かれた瞳。そして彼は倒れ、母は悲鳴を上げて
ヤクザは風のように去って行った。