慶は口からタバコの煙を出しながら、前を向いたまま言った。




「作詞家はさ…こうゆうとこ来ると、歌詞が思い浮かぶわけ?」

「え…?」

「“恋愛の神”なんだろ?お前…」

「―――!」


クルッとこっちを見て言う慶。




「い、言わないでよっ!」

「あはは…」


恥ずかしくて、慶の腕を叩く。

慶は隣で笑っている。




慶には…言っちゃおうかな・・




「…私ね本当は“恋愛の神”なんかじゃないんだよね……」


私は慶の方を見ずに、海をぼんやりと眺めながら言った。


慶を見なくてもわかる。

慶は私を見て驚いている…