「ん…」



急に首もとが暖かい。

慶が、自分が巻いていた黒のマフラーを私に巻いてくれた。




「えっ、いいよ!慶が風邪ひいちゃう!」

「いい。お前が巻いてろ。」

「でも…」

「歌姫を風邪ひかせるわけにはいかねぇよ…」


慶はそう言って、タバコに火をつけた。

私は若干照れながら、マフラーで口元を隠し「ありがとう」とつぶやいた。





ザザ――ン…‥

ザザ―――ン…


海を見つめる私と慶。



「綺麗だな。」

「うん!すごくね…」


海には月が照らされて、自然にライトアップされているようだ。


夏に来る海は、なんか楽しい感じだけど‥
冬に来る海は、なんだか寂しい感じだな…




「なに考えてんの…?」