爪をいじるのを止め、こっちを見る陽菜。



「え…陽菜も?」

「うん!すごいんだよ〜、海外でギター学んで帰ってきた人でね〜。キャリア聞いたら15年だって♪」


また自慢かよ(汗)

私は「そうなんだぁ」と、軽く適当に返事をした。





「SaRAのバンドのギターの新人の人も、若くてイケメンだよね〜。うちに入ったギターの人、腕は確かだけどもう30代らしいしぃ。あ、でもでもっ、顔はイケメンだよ〜。あとね……‥」


ハイハイ。お前は一生自慢してろっ

それに、あんたの新人ギタリストがどんな人か知らないけど、慶の方がすごいに決まってんじゃん。


ま、私はあんたじゃないから自慢なんてしないけど…





チ――ン…‥


エレベーターが1階に着き扉が開く。

私は陽菜と別れ、マッスーに電話をかけようと、ポケットから携帯を出す。



ん……?


すると、事務所の入り口に、マッスーの姿が見えた。

私は携帯をポケットにしまい、マッスーの元へ小走りで歩いていく…




「……‥あ、そうだ。つーかアレ聞いた?」


!?

マッスーに声をかけようとしたら、マッスーの奥にもう一人男の人が…

とっさに角に隠れる私。