8時40分、試験開始のチャイムが各教室に響いた。


音と同時に筆を走らせる音のみが教室を包む。


まずは理科。


特に得意科目である輝好は、開始わずか20分でシャーペンを置いた。


見直しを終えたときには残り時間10分。


後ろからはまだシャーペンを動かしている音が聞こえる。


10分は見直しの時間にあてないと、高得点は難しい。


ケアレスミスを失くすための時間配分だった。


すると、凛が机にシャーペンを置いた音がした。


ほっとして輝好は自分のテストよりも凛のテストが気になった。


1限目が終了し、輝好が後ろを向くと凛は次の英語の最終チェックをしていた。


「絶対西園寺に勝つから」


高校に入って勉強に対する意欲が低減した凛だったが、今回輝好のためにやる気を取り戻した。


輝好は自分のためにこんなにも頑張ってくれている凛の姿を見ると、不思議な気分になった。





無事、1日目の過程が終了した。


2日目・3日目も何なく終了し、気づけば実力テストが終わっていた。