決して鈍くない輝好はこれから何を言われるのか気付いていた。


「実際に私が恋した人は、同じクラスどころか学校すら違う。


 部活も入っていなくて、無愛想。


 デートだって1回だけだし、まだ自分に自信だってもててない。


 だけど言うね」


神流は一呼吸おくと、真っ直ぐ輝好を見つめた。





「私は鷹須賀君が好きです」





丁度、観覧車が1番天に近い場所に達した。


ここからは輝好の時間だ。


「正直、アドレスを書いた紙を渡されたとき自分勝手なやつだと思った」


輝好の率直な言葉に神流は苦笑した。


「今日の遊園地だって乗り気ではなかった。


 本当はこの時間までいる気はなかった。


 だけど・・・久しぶりに面白いと感じた。


 三上といて楽しかった。


 だから、今この時を三上と過ごしているんだと思う。


 だが・・・」


輝好も一拍おき、吸い込まれそうな綺麗な瞳で神流を見据えた。





「三上とは付き合えない」





神流は輝好の一語一句を耳に入れ、心で感じていた。





答えは初めから分かっていたかのように何度も頷いた。