『高校入学おめでとう、輝好』


美しい容姿をもちあわせた若い女性が、輝好に微笑んでいる。


ワンピースから伸びたスラッとした手足。


素敵な笑顔。





知っている・・・





俺はこの人を知っている・・・





思い出せない・・・いや、思い出したくない










「・・・好・・・輝好!!」


ゆっくりと瞼を開くと、自分の顔を覗き込む凛の姿が映った。


「式、終わったぜ」


まだ、はっきりしない頭を覚醒させ、席を立つ。


「悪いな」


「いや、それより早く出ようぜ!残ってんの俺らだけだし」


辺りを見回しても、生徒の姿は誰一人視界に入って来ない。


「出るか」


二人は出口の扉を開け、外へ出た。










太陽に照らされた桜の木がやけに眩しかった・・・