神音は再び目を閉じて懸命に思い出そうとした。


「ごめん・・・分かんない」


目を開けた神音はかすかに口をほころばせた。


「何かね・・・落ち着くの」


「何がだ?」


「はっきりとしたシルエットでもないのに、すごく落ち着く。私この人が好きなんだ」


過去形ではなく現在進行形で語る神音。


その男が神音と、どういう関係だったか分からない。





恋人だったのか・・・





それとも他の何か・・・





だが、神音の言葉には意思が宿っていた。