凛の目線を追うと、前髪をピンで留めた茶髪の少年が足を組みこちらを見ている。


「ほっとけ」


輝好は再び前を向いた。


凛も後ろを気にしつつも、輝好にならって前を向いた。


間もなく、体育館は育ち盛りの男子生徒で溢れ返った。


突如、照明が落とされ舞台に明かりがついた。


体育館内に静寂がおとずれる。


そして、舞台の中央に置かれている講壇の後ろに校長らしき人物が現れた。


マイクのスイッチを入れ、校長から祝辞が送られる。


まるで何かの模範解答のような校長の言葉に、輝好は退屈を感じた。


茶色がかった瞳を閉じると、次第に校長の声が薄れついに聞こえなくなった。