「もしかしたらお前に恋人がいたかもしれない」


輝好は神音を訪れるなり、開口一番に告げた。


当の本人はキョトンとしている。


「恋人?」


「これを見てみろ」


輝好は写真に写っていた実物のネックレスを神音に見せた。


あの後、秋覇に頼みペアネックレスの女の方を借りてきたのだ。


クロスをモチーフに淡いピンクの宝石が散りばめられている。


「あ・・・」


「何か思い出したか?」


神音はこめかみをおさえ、目を閉じた。


「誰だろ・・・?」


目をそっと開けると、黒い瞳を輝好に向けた。


「男の人がいる。何か・・・私に喋りかけてるの」


「どんな奴だ?」