帰ろうと思い、輝好は腰を上げるとズボンのポケットから一枚の紙が落ちた。


「何これ?」


神音は紙を拾い上げることができないので、輝好が拾い、広げたのを横から覗き込んだ。


「三上 神流?誰?」


それは体育祭の帰り道、押し付けられた紙であった。


ポケットに突っ込んだまま忘れていた。


「何でもない」


「彼女?彼女?」


興味津々である神音。


無視して去ろうとした輝好だが、足が地についたまま離れない。


「逃げようとしても無駄だよ~」