「名前も分からないのか?」


「うん」


輝好は、はぁっと溜息をつくと幹の下に腰を下ろした。


「・・・名前」





自分が何故こいつに話しかけているのか分からない





ただ、興味がわいた





少しだけ





「名前、付けてほしいか?」


少女は驚いたように目を見開き、とたんに笑顔になった。


「うん!あ、でも桜の木の下にいたから『桜』っていう名前はやめてね?芸なさすぎだから」


ちょうど考えていたことを言うまでもなく却下されて、輝好は舌打ちをした。