後日、輝好は仮病を使い、午前中で早退し、再びあの場所へ出向いた。


二回目ということもあり、今回は目的地に着くまでさほど時間は要さなかった。


桜は相変わらず輝いている。


「こんにちは」


木の後ろから、先日輝好が目にした少女が現れた。


白い肌によく映える艶のいいロングヘアー。


秋物の服を着て、輝好に微笑んでいる。


だが、輝好は違和感を感じた。


少女に近づくと、その違和感がやがて確信へと変わっていく。


透視能力があるわけじゃない。


なのに少女を通じて向こう側の岩壁が見える。





・・・・透けている





「あ、私が何なのか気付いちゃった?」


「幽霊・・・?」


「多分ね・・・」


少女は悲しそうな表情(カオ)をした。


「多分?」


確定的でない答えに輝好は眉をひそめた。


「私、こうなる前の記憶が全然ないの」


少女の話によると、ふと目が覚めたときにここにいたというのだ。