十分程、一本道を歩き続けると奥の方が明るく輝いているのが見えた。


お互いの顔を見合わせると、無言のままスピードアップしていた。


最後の方は小走りでそこに辿り着くと、秋覇は懐中電灯のスイッチを切った。


三人は息を呑み目の前の光景に驚愕した。





これが噂の冬桜・・・





そこには信じられないくらい大きな桜の木が、洞窟の上にぽっかり開いた穴から太陽の光を受け、満開に咲いている。


今は四月なので満開していて当然なのだが、これが冬にも咲いているとなったらまた別の話。


「すげぇ・・・」


凛の漏らした言葉は感嘆の意が込められていた。


「これが・・・冬にも咲いてたの?」


「俺に聞くな」


三人はしばらく無言のまま見続けていたが、バスの時刻のこともあり帰ることにした。


「俺、正直花には興味なかったけど、これには感動した!」


凛が興奮気味に話した。


「俺も。輝好は?」


「別に」


「また来てね」