「おせーよ!輝好!」


朝と同じ状況が今、輝好の目の前で繰り返されていた。


一度三人は帰宅し、私服に着替えてからの集合ということで話がついたのだ。


黒を好む輝好は何枚か重ね着をし、黒いｼﾞｬｹｯﾄを羽織って下はｼﾞｰﾝｽﾞという格好だった。


輝好が着いてすぐにﾊﾞｽがやってきたので、三人は乗り込んだ。


通学時とは違い、席は空席だらけだったので輝好は一人席に、残りの二人は二人がけの席に座った。


窓に肘をつき外を眺めていた輝好の視界が除々に変化していく。


都会の街並ばかりだったのに、緑の景色が目の前に広がっている。


冬桜は今年、観光名所になったらしく直通ﾊﾞｽまでできていた。


だが残念ながら平日は運行されていない。


輝好達はﾊﾞｽがふもとのﾊﾞｽ停に止まると降車した。


「ん～!!」


凛は思いっきり腕を伸ばすと深呼吸をした。