「どうした?」


「いや・・・何でも」


いち早く秋覇の変化に気付いた輝好が声を掛けるが、秋覇は顔を背けた。


「なぁ!」


寝転がっていた凛が上半身を起こし、何か思いついたような表情をした。


「あの桜の木、見に行こうぜ!!」


あの桜とは、例の冬に咲く桜のことだろう。


花水市は輝好達が住んでいる市の隣だった。


その上輝好達は、丁度市の境目辺りに住んでいるのでそう遠くはない。


「俺はいい」


輝好は一瞬にして凛の誘いを断ったが、この男は違った。


「面白そうだね。行こうよ!」


秋覇も賛成したことにより、輝好もなぜか強制参加させられるハメになった。


「じゃぁ、今日の放課後バス停に集合な!」


丁度その時、昼休みの終わりを知らせるチャイムが校内に鳴り響いた。